K's ANTIQUE店主
川口 宗彦
国産コーヒー顛末記 前編
 「コーヒーの実が豊作で」と鳴子熱帯植物園の木村幹愛園長が立ち話で。
 赤道を中心に南北二十度でしか収穫されないはずのコーヒーの実。国産自給率ゼロのはずのコーヒー豆が「大崎地方(北国といえば北国)で大豊作なんて」と耳を疑ったほどである。
 早速、コーヒーの木とのご対面。目が点‥になった。正しく枝も折れんばかりに数珠つなぎに「たわわ」に実っている。「コーヒーチェリー」と呼ばれるほど「サクランボ」のように真っ赤で丸い実が。
 かつて各国生産地行脚のおりにもこんな光景に出会ったことはない。観賞用の実の量など比較にはならない。
「なぜ?」
 木村園長から「ぜひ今年はこのコーヒーチェリーを飲料にまでしてみたい」との要請。…腕がなる。焙煎師冥利につきる。
さて、この赤い実から日ごろ私たちが口にする液体になるまでにはさまざまな行程を要する。収穫、果肉の除去、乾燥、脱穀、熟成、焙煎、粉砕、抽出と…。
 数年前、一握りの実を木村園長からいただいたことがある。観賞用としての赤い実に火を加え試飲することに幾分かの抵抗があり、店のウインドーに飾ってあるが、今年の樹を見る限り「コーヒーにして飲んでみてくれ」と言わんばかりに実がしっかりしている。さて…。
(次号へ続く)

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